病院コラム

2024年11月27日

紫外線と皮膚がんについて詳しくご紹介します

●紫外線とは
太陽の光には目に見える光(可視光線)のほかに、目に見えない赤外線や紫外線がふくまれています。紫外線とは地表に届く光のなかで最も波長の短いものです。さらに、波長によってA/B/Cに分けられ、Cはオゾン層でほとんど吸収され地表には届きません(図1)。
紫外線は可視光線と同じように、季節や時刻、天候などにより絶対量や日射量に占める割合は変化します。建物や衣類で大部分が遮断されますが、大気中での散乱も多くあります。紫外線の強さは、1日では正午頃、季節では6‐8月頃に最も強くなります。標高の高さや、地表からの反射も影響します。


 

●紫外線の影響
紫外線による身体への影響は良い面と悪い面があります。良い面としてビタミンDの合成があります。しかし、日常生活で浴びる程度の量で十分で、食物からの摂取もあり不足はありません。また、治療として乾癬・アトピー性皮膚炎などに用います。悪い面としては、急性傷害として日焼け、慢性傷害として、光老化(皮膚のシミ・しわ)、腫瘍の発症があります(図2)。


 

●紫外線と皮膚がん
紫外線は細胞のDNAに傷をつけます。細胞にはそれを修復する機能がありますが、長年にわたり繰り返し傷を受けると、直し間違いがおこり発癌のきっかけになることがあります。高齢になってからが多いため、若いうちから余分な紫外線を浴びない工夫が必要です。

日光角化症は60-70歳代から多くみられます。皮膚が赤みを帯び、表面がかさかさして、触るとざらざらしています。皮膚の一番表面の表皮の中にがん細胞が出現している状況で、前がん症と呼ばれます。放置すると1割弱の人が有棘細胞がんに進展します。
基底細胞がんは、80%以上顔面に発生し、多くは黒色、真珠様光沢があり、ときにえぐれて潰瘍を作ります。深く浸潤し骨破壊を引き起こすものもありますが、転移はまれです。
有棘細胞がんは日光角化症、熱傷瘢痕など先行病変をみることが多いがんです。近年は紫外線によって誘発される例が多いといわれています。固い紅色の結節を生じ、花菜状を呈することもあります。ときに中央が潰瘍化し周囲は堤防状隆起し悪臭を放つこともあります。
悪性黒色腫は“ほくろのがん”といわれる、悪性度の高いがんです。欧米では予防として日光を避けることが重視されています。日本人では紫外線に関連するタイプは多くなく、足底が好発部位となっています。

●紫外線対策
皮膚を守るために、不必要な紫外線を避ける生活習慣を心がけること、紫外線の強い場所に行くときは防御をしっかりすること、日傘・帽子・衣類などで当たる量を減らすこと、日焼け止め(サンスクリーン)を使用することなどが必要です。

サンスクリーンは日常生活ではさほど強いものは必要ありません。防御効果を示すSPF・PA値を状況により使い分けましょう(図3)。防御効果は2㎎(2㎖)を1㎠に塗って測定されています。私たちが一般に使用している量はその6-7割といわれており使用量に注意します。また、汗などで流れてしまうので、長時間では追加で塗ることが必要です。
きちんと防御して、楽しく季節を過ごしましょう。

 


 


 

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